さまざまな仏具でお仏壇を飾ることを「荘厳(しょうごん)する」と言います。お仏壇を仏様のお住まいと考えたとき、いわばインテリアにあたるのが仏具。
つまり荘厳することは「仏様のお住まいに必要なインテリアをそろえ、美しく整える」ことであり、仏様を大切にお祀りするということなのです。
そんなお仏壇に欠かせない仏具についてご説明します。
基本的な荘厳
仏具による荘厳の基本となるのは、三具足(みつぐそく/香炉・花立て・ローソク立て)です。本尊に向かって左側から花立て、香炉、ローソク立てを1つずつ飾ります。
比較的大きなお仏壇の場合は、五具足(ごくそく)となります。中央に香炉を置いて、その両側にローソク立てを1対、さらにその外側に花立てを1対飾ります。
この三具足・五具足に加えて、各宗派によって様々な仏具による荘厳のしかたが決められています。では次に、仏具の種類について詳しく見ていきましょう。
香炉
線香や抹香などといったお香を焚くための仏具。一般にご家庭で祈りを捧げるときに使われるのは、前香炉(まえこうろ)、長香炉(ながこうろ)というタイプです。
他に玉香炉というタイプがあり、焼香の際などに使われます。
ローソク立て
ローソクを立てて火を灯す仏具で、燭台、灯台などとも呼ばれます。近年では安全性を重視した電球タイプのものもあります。
花立て
花瓶とも呼ばれ、生花を飾りお供えする際に使用します。
仏飯器(ぶっぱんき)
お仏壇にお供えするご飯を盛りつける仏具です。毎朝、炊き立てのご飯をお供えし、日々生かしていただいていることへの感謝をあらわします。朝のお供えはお昼には下げますが、これは捨てずに、少し蒸していただきます。
朝食がパン食の方は、パンをお供えしても問題ありません。または、その日に最初に炊くご飯を「お初(おはつ)」としてお供えされる方もいらっしゃいます。感謝の気持ちが大切なので、それぞれの生活スタイルに合わせてお供えするのがよいでしょう。
茶湯器(ちゃとうき)
お茶や白湯、お水をいれてお供えするための仏具です。浄土真宗ではお水等はお供えしないので使われません。
このお茶やお水は「浄水」と呼ばれ、お仏壇を拝む方の心を洗うためのものです。お下げしたお水は、植物などに注いであげるのが良いとされています。
仏飯器と茶湯器をのせるための横長のお膳を、仏器膳(ぶっきぜん)といいます。
高杯(たかつき)
お仏壇にお供えするお菓子や果物、お餅などをのせるための器。お供えをするときには、お皿の上に半紙を敷きましょう。
受け皿(杯)についている高い足は、お膳の無かった時代の名残といわれています。複数の脚の高坏の場合、偶数のものは2本の足が正面に向くように、奇数のものは一本の足を正面に向くように置きます。 また、紋が付いた高坏は、紋が正面に向くように置きます。
吊り灯籠(つりとうろう)
お仏壇の天上から吊り下げる灯り。中に電球が入っており、お仏壇の内部を明るく照らします。大きなお仏壇に使われることが多いようです。
瓔珞(ようらく)
お仏壇を美しく飾り、魔除けの役割を持つといわれる仏具です。お仏壇の天上から下げて飾ります。
常花(じょうか)
常花とは本尊、位牌に供える造花です。仏教界において最上の花とされる「蓮華の花」を、金属や木材などでかたどった仏具です。
真宗以外の宗派で使用され、多くの場合、前机の上に左右一対で飾ります。宗派や地域によって常花を使用するか、生花を使用するかは異なるため、ご購入前にお寺や仏壇店に一度ご相談することをおすすめします。
鈴(りん)
本来は、読経の初め・区切り・終わりを知らせる合図として打つための金属の仏具です。しかし、「ご先祖さまに供養していることを知らせるもの」 として、ご先祖さまを身近に感じられるのならば、仏壇の前で叩かれても特に問題ありません。
ただ、おおやけの場での供養や焼香の際には、叩かない方が正式です。
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木魚(もくぎょ)
木材を丸くくりぬいて、魚の模様を彫り込んだ仏具。読経をする際、リズムを合わせ、精神を統一するために「ポク、ポク…」と打ちます。
すべての宗派で使用されるわけでなく、主に禅宗や天台宗、浄土宗などで用いられます。
過去帳(かこちょう)、見台(けんだい)
過去帳は、故人の戒名・俗名(生前の名前)・亡くなった年月日・享年などを記録しておくノートのような役割をもつ仏具です。この過去帳をのせておくための台が見台です。
数珠(じゅず)
お経や念仏を唱える時、その数を数えるためにも使われるとこから念珠(ねんじゅ)と呼ばれることもあります。小さな玉をつないで輪にした仏具で、祈りを捧げるときに使用します。宗派によって形や手にかける方法が違うので、ご購入の前には一度確認されることをおすすめします。
数珠は、お葬式や法事、お墓参りで合掌する際に手に掛け、ご先祖さまと心を通い合わせる大切な仏具です。
経机(きょうづくえ)
本来はお経を読む際に経本をおくための机ですが、香炉やローソク立て、鈴、数珠など日常使う仏具を置いておくためにも活用されます。
お仏壇にふさわしい荘厳を
ご紹介したものの他にも細かな仏具がいろいろあり、宗派や地域によってその形状や飾り方も様々に異なります。また同じ宗派、地域でもお仏壇自体の大きさによっても必要な仏具は違ってきます。
複雑で難しく思われる荘厳ですが、お仏壇のコンパクト化やデザイン化にともなって、こうした荘厳もだんだんと簡単になりつつあります。kuyoのカタチでは、お一人お一人のお仏壇にあわせた荘厳や仏具のご提案をしていますので、お気軽にご相談ください。